コンデンサ充電用昇圧チョッパの高出力化について

EML等の高圧コンデンサをバッテリーなどの低圧電源から充電したいときは昇圧回路が必要となります。 昇圧回路の出力が高ければ早く充電できるし、弱ければ遅くなります。 コンデンサ充電用の昇圧回路としては主に「ZVSドライバ」と「昇圧チョッパ」が有名です。 ZVSドライバは回路自体は簡単で手軽に高出力が得られるメリットが有りますが、出力が弱い時もあればめっちゃ強い時もあったり、動作が不安定ですぐに素子を飛ばしたり...などデメリットもあります。 昇圧チョッパは回路も簡単で安定していますが、出力が小さく大容量のコンデンサを充電するには不向きです。
ここではその出力の弱い昇圧チョッパを改良して高出力化を目指したいと思います。


これは昇圧チョッパの基本的な回路図です。MOSFETである必要はありません、単純にスイッチとして見てください。

まず簡単に動作原理を説明します。
①MOSFETをONにしてのコイルに電流を流してエネルギーを貯めます。
②適当なタイミングでMOSFETをOFFにし、コイルに流れる電流を止めようとします。
③しかしコイルは電流を流し続けようとする性質があり、コイルに貯めたエネルギーを放出し終わるまで流し続けます。これが誘導起電力です。
④電源電圧と誘導起電力の合計の電圧がダイオードを通って出力となります。
※コイルは何が何でも電流を流し続けようとするので、誘導起電力+電源の電圧は充電するコンデンサより高い電圧となります。これが昇圧できる原理です。
⑤繰り返し
以上のような感じです。もっと簡単に言っちゃえばコイルで発生するサージを利用して昇圧する感じです。
語弊のある説明だと思うので、詳しくは他のサイトや本などで確認してもらえると幸いです。


コンデンサ充電用チョッパといえば555を使ったこの回路が有名です。
555で発振回路を作り、MOSFETをスイッチングするだけといった回路です。簡単ですがこの回路は出力が小さく高速に充電するのは不可能です。
ではなぜ出力が小さいのか?

出力の電圧はコイルに電流を流してエネルギーを貯める期間と放出する期間の比で決まります。(というか電圧で比が変わる感じ)
しかし負荷がコンデンサとなると、充電していくうちに出力電圧が変わるのでその時々の最適な周波数・デューティ比があるはずなのです。
例えば、DT=50%で出力のコンデンサの充電電圧が低いとこのようなコイル電流になります。
コイルに貯められたエネルギーが放出(コイルの電流が減る)される前に次のサイクルにいってしまうのでコイル電流が増えていってしまいます。いずれコアが飽和しちゃいます


逆に電圧が高いとこのようなコイル電流になります。
電圧が高くなるほどエネルギーを放出する(コイル電流が減る)時間が早くなるのでコイル電流が0まで戻ります。しかしそのあと0Aのままでなにもしない時間があるのがわかります。


555を使った回路では周波数・デューティー比が固定ですから、何もしない時間が発生し充電が遅くなっているのです。
(もっと言っちゃうとこの回路だとゲートドライブに不安が...)

ということで、高出力化するには充電具合に応じた最適な周波数・デューティ比でスイッチングして最適な電流を流してあげればいいことがわかりました。


自動で最適な周波数・デューティ比にするためには、「コイルの電流を監視して、上限の電流値になったらMOSFETをOFF、コイル電流が減ってきて下限の電流値になったらONするという動作をすればいい」というのを考えました。
図にしてみるとこんな感じ



基本的にはコンパレータ2つとRS-FFで構成されてます。
動作は以下の通り

①コイル電流をシャント抵抗で検出
②コイル電流が下限の電流値以下ならば最小電流監視コンパレータの出力が1となり、RS-FFのSに1が入る
③するとRS-FFの出力Qが1となり、MOSFETがONになる
④コイルに電流が流れ始める
⑤上限の電流値になると、最大電流監視コンパレータの出力が1となるり、RS-FFのRに1が入る
⑥するとRS-FFの出力Qが0となり、MOSFETがOFFになる ⑦だんだんコイル電流が電流が低下
⑧ ②の動作へ



これでコイルが飽和することもなく、無駄な時間もなく、出力の負荷にかかわらずちょうどいい周波数・DT比で動かすことが出来ます。
よく見るとコイル電流の立ち上がり時間は同じで立ち下がりが変わるだけなのでPFM変調になってますね(電源電圧は同じなので立ち上がり時間は変わらず、出力電圧は変動するので立ち下がり時間は変わる)

そういえばコイル電流は0Aまで戻す必要はありません。
戻さないほうがピーク電流を低くできて、インダクタの小型化や低リプル化、高出力化などすることができます。代わりに周波数が高くなったりノイズが増えたりすることがあります。
0Aまで戻すのが臨界モードと言って途中までしか戻さないのを連続モードと言います。


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