【EML用】自動充電停止回路
コイルガンやレールガンなどのコンデンサ充電で、一定の電圧で充電を止めたいときがあります。そんなときにこの回路を組み込むと自動で充電停止してくれます。
充電停止電圧は0~500V程度です。高圧を扱うので注意してください。
製作時期:詳細不明(大体2014/10くらい)
回路図

コンパレーターで充電電圧を比較して、停止電圧かそうでないかを判断しています。
停止電圧になると回路図中のトランジスタがONになります。
停止電圧は可変抵抗で調節できます。
また、若干電源電圧が変動しても、停止電圧は変わらないようになっています。ヒステリシスも付いています。
停止電圧の安定化について
この回路は電源電圧-GND間を分圧して得られた電圧(基準電圧)と、充電電圧-GND間を分圧して得られた電圧を比較して停止するかを判断しています。電源電圧が変動してしまうと基準電圧も変動してしまい、結果的に停止電圧も変わってしまいます。
そこで、ツェナーダイオードで簡易的に安定した電圧を作り、基準電圧を安定させて停止電圧が変動しないようにしています。
ヒステリシスについて
ヒステリシスがないと充電停止後電圧が下がりすぐに充電を再開し、高速で充電→充電停止→充電→充電停止→・・・を繰り返してしまいます。これを防ぐためにヒステリシスをつけてみました。
充電停止したあと、少々充電電圧が下がってもすぐには再充電せずに、一定まで下がれば再充電するという動作をします。

適当な図ですが......。
最初はヒステリシス無い方がいいんじゃないかと思いますが、実際やってみると動作が不安定になったり、停止/再開が結構うるさかったりします。
回路図のR6の抵抗値を変えると充電再開する電圧を調節できます。
抵抗値を大きくすると停止-充電の範囲がせまく、小さくすると広くなります。470kΩ~680kΩが良さ気だと思います。
部品リスト
名称 | 個数 |
---|---|
IC:2903DやLM393など | 1 |
ICソケット:8ピン | 1 |
金属皮膜抵抗:2.2MΩ | 1 |
金属皮膜抵抗:39KΩ | 1 |
カーボン抵抗:10KΩ | 2 |
カーボン抵抗:1KΩ | 1 |
カーボン抵抗:470Ω | 1 |
カーボン抵抗:470KΩ~680KΩ | 1 |
半固定抵抗:100KΩ | 1 |
トランジスタ:2SC2120 | 1 |
ピンヘッダ・ピンソケットなど | |
適当な基板 |
2.2MΩと39kΩの抵抗は、できれば誤差の少ない金属皮膜抵抗を使ってください。カーボン抵抗でも動きますが、停止電圧の誤差などが大きくなると思われます(そもそも半固定抵抗で適当に停止電圧を決める仕様なので抵抗の誤差こだわってもどうなのかって感じもしますが)
配線図
今回はいろいろ応用できるようモジュール的にして作ることにしました。もちろん充電回路の基板などにそのまま配線しても大丈夫です。

パターンの無い面から見た図です。
左から、電源(+12V)、停止出力、GND、未使用ピン、コンデンサ電圧入力、となってます。
未使用ピンは絶縁のために空けてあります。
本当はピンヘッダやピンソケットのピン抜いたり、パターン剥がしたりしたらいいと思う。
完成

(基板サイズ一列ミスった気がする)
2.2MΩの抵抗にはタクマン電子のRMGシリーズを使用しました。
このシリーズは高精度・高電圧対応でこの回路にピッタリです。39kΩは普通の金属皮膜抵抗、その他はカーボン抵抗です。
ICは2回路入りコンパレータの2903Dを使用しました。
充電停止回路ではLM393を使っている人が多いようですが、2903Dの方が安く秋月電子でも手に入るのでコチラのほうがおすすめ。秋月にもLM393が入荷されました。2903DとLM393はそのまま置き換えできます。
基板は余った基板をカットし大きさを合わせて断面をヤスリで磨きました。
使い方
この回路は停止電圧になると、トランジスタがONになってGNDに落とされるようになってます。なので停止電圧になったらLEDを光らせる場合はこんな感じになります。

電流はトランジスタの定格(30V800mA)まで流せます。
よくあるZVSドライバーにつけてみた場合。ゲート信号がGNDに落とされてZVSの動作が停止するようになってます。
若干ゲート抵抗の損失がキモいけど...まぁいいか

そんな感じで、どこかしらをGNDに落とすと充電停止されるような回路を組めばいいですね。
それと、必ず充電部のGND、コンデンサのGND、充電停止回路のGNDを同じにしてください。
充電停止されません
自動充電停止回路のテスト動画です。簡易昇圧チョッパに組み込んでいます。